□中村海産の課題
中村海産は、年間 約200万パック のみりん干し製品(正規品)を、みなさまの食卓へお届けしています。しかし、みりん干しに加工される魚のうち約2%は、「身の割れ欠け、規格と大きさが違う」などの理由で規格外品となります。
みなさまの食卓へみりん干しを安定してお届けするため、高品質・安定供給を両立する一方で、中村海産は長年、食品ロスへの課題に頭を悩ませていました。
中村海産で出た規格外品は元々、富山県にある直売店でお客様へのおまけ、中村海産ではたらく社員たちへ配布していましたが、行き場のなくなった「規格外品」は残念ながら廃棄されていました。
□課題に対しての取組
このもったいない食品の行先を見直し、いただいた命を余すことなく活用したい。その想いで、2021年に食品ロス削減を、中村海産が解決すべき重要課題の一つとして、取組をスタートしました。
はじめは、みりん干しをつくる工程から出る規格外品の販売、フードバンクや子ども食堂への提供、規格外の原料を買い取るなど、もったいない食品の可能性を少しずつ広げていきました。
現在では、この規格外品をアップサイクルし、みりん干しと素材の融合を追求するスイーツプロジェクト「UOGASHI – 魚菓子 -」を展開しています。規格外品という概念を超え、新たな食品の価値をみなさまへ提供するため、チャレンジを続けます。
有限会社中村海産
中村海産の食品ロスはどのくらい削減できているの?
2022年 | 2023年 | 2024年 | 2025年 | |
年間削減量(kg) | 2,446kg | 4,278kg | 3,351kg | 1,141kg |

食品ロスって何?
まだおいしく食べられるのに、形が悪い、規格よりも小さい、などさまざまな理由で捨てられる「もったいない」食品。
現在、日本では年間472万tもの食品ロスが発生しています。
食品ロスは大きく分けて2つ。
家庭で出る食品ロスと、製造工場や販売店が生む事業系食品ロスです。
中村海産では食品ロスのない未来を目指し、主に自社、取引先の事業系食品ロス削減に向けてチャレンジをつづけます。

1.製造工程で生まれた規格外品の販売
みりん干しに加工する工程で、身の割れ欠けなどが見つかった規格外品を、自社オンラインストアや地域のイベント、食品ロス削減に前向きに取り組まれている取引先などで販売をしています。

2.規格外の原料を買取、みりん干しへ
規格よりサイズが小さい、身の割れ欠けがあるなどの理由で規格外品となった原料を買い取り、みりん干しに加工、販売しています。

3.フードバンクへ規格外品の提供
2021年より富山県食品産業協会様を通じて、フードバンク・こども食堂へ規格外となったみりん干しの提供をはじめました。
弊社のミッションである「世界中の魚ぎらいな子どもをゼロにする。」を実現する上でも重要な取組のひとつです。

4.規格外みりん干しをアップサイクル
弊社の売上の70%はししゃものみりん干しでできています。当然生まれる規格外品の量も他の魚とくらべものにならないほど多く、この規格外品を活用してみりん干しペースト調味料「ひみすと」をつくりました。

ただアップサイクルするだけに留まらず、新たな食品の価値創造につなげるため、日々試行錯誤をし、進化を遂げながら商品開発をしています。
ひみすとを使用した商品開発にはテーマがあります。それは開発者、そして商品を手にしたお客様が共にわくわくする食品づくりをすることです。
現在はみりん干しペーストと素材の融合を追求するスイーツプロジェクト「UOGASHI-魚菓子-」を中心とした、唯一無二の商品開発をしています。

UOGASHI メディア掲載歴
2024年7月にスタートしたスイーツプロジェクトUOGASHI。雑誌、テレビ、ラジオなど様々なメディアから取材を受けています。


2025.2.19
NHKニュース富山人 キラリ富山人に出演しました
2025.2.7
KNB富山【 ワンエフタイムズ 】でご紹介いただきました
2024.11.28
ラジオ「週刊なるほど!ニッポン」に出演
2024.11.07
CBCラジオ 日本全国にプラス!で紹介されました
2024.10.30
中日新聞に掲載されました
2024.10.29
北日本新聞に掲載されました
表彰
2024年10月29日 富山県食品ロス・食品産業廃棄物削減推進県民会議で表彰されました!

□ 2025年5月19日 富山県食品産業協会 地域食品評価会において「UOGASHI流チーズケーキ」が優秀賞を受賞しました!

取引先企業のご協力
2024年能登半島地震で被災した原料の保管冷蔵センター。
原料の保管場所は崩れ、揺れが強く箱の中で魚同士がこすれ、傷ついた氷見のマイワシは55tにも及びました。
上の方に積まれた原料は比較的破損が少なかったが、正規品にできない以上、廃棄するしかない。
あきらめかけた時、取引先の生活協同組合おおさかパルコープ様から、復興応援企画で規格外品販売をご提案いただき、半年の間、応援してくださる組合員の方々への販売を続けてくださいました。
廃棄せざるを得なかったもったいないマイワシが、取引先のみなさまによって救われたこと。
そして応援してくださった皆さまにより、おいしく食べて頂けたこと、心より感謝申し上げます。


中村海産の見据える未来
みりん干しペースト調味料「ひみすと」を活用する本プロジェクトは、単なるアップサイクル品の普及や食品ロス削減に留まりません。
弊社のミッションである「世界中の魚嫌いな子どもをゼロにする」こと、そして「100年後を見据えた未来の地域食を生み出す」ための重要な取組と位置づけています。
私たちは「ひみすと」が持つ栄養価に着目し、近い未来に介護食、離乳食、非常食、さらには宇宙食までを視野に入れた商品開発を行う予定です。
地域経済の活性化への貢献: 魅力的なアップサイクル商品を発信・販売することにより、この商品を目的として全国のお客様が氷見を訪れることで、地域経済の活性化に貢献します。
「魚離れ」対策と未来の市場育成: 「魚離れ」が顕著な昨今において、規格外品を販売または提供し、魚をあまり食べない子どもたちやその家族へ、魚のおいしさを届けることにより、未来の魚の販売市場を育みます。
規格外品の価値認識を促進: 魅力的なアップサイクル商品を体験したお客様が、その価値を認識することで、規格外品に対するこれまでの偏見を根本から覆します。